ナイト・オン・ザ・プラネット

さらにさらに映画の話...

今日は「ナイト・オン・ザ・プラネット」。これも邦題なんだよね。原題はNight on Earth。どっちも同じ意味だと思うけど。どうしてこのタイトルにしたのかな。また、逆に邦題をそのまま英語にしたら変なのかな。

この映画は、今はもうない関内アカデミーという映画館で見た。ジム・ジャームッシュ特集をやっていて、週替わりくらいでジャームッシュ作品を順にかけていたのだ(今はすべてDVDを持っている)。その時はもうフリーになっていたと思う。平日の昼間に貸し切り状態で見た覚えがあるから。中央に陣取ってラスクをかじりながら、誰もいない前の座席に腕をのせて。贅沢だね。ポンヌフの恋人みたいに切迫した気持ちで見た印象がないから、もう翻訳でフリーになっていた時だと思う。いや、どっちかな。まあいいや。

ジャームッシュが何かのインタビューでも言っていたと思うけど、この映画の最大の特徴は、他の大多数の映画なら撮影もされることなく飛ばされるシーンばかりで構成されているというところだ。つまり、ずっとタクシー車内のシーンが続くのだ。ほとんどの映画では、ストーリーの都合上、タクシーに乗ることがあっても、乗り込んだ次の瞬間には降りるシーンになっている。なのに、この映画では延々、タクシーの中なのだ。だけど、タクシーの中で起きることも人生の一コマには変わりない。しかも、この映画の場合は「一コマ」で済まないようなことも多々起きる。

関内アカデミーではじめて見た時には、とにかくロサンゼルス編のウィノナ・ライダーのかわいさに魅了された。そればかりが心に残った。確か、何日後にもう一度見たはず。ウィノナ・ライダー見たさに。それが長い時を経て、今、一番好きなのは最後のヘルシンキ編になっている。どうしてそうなったのかは自分でもよくわからない。