スモーク

そろそろ終わりに近づいてきた映画の話...

今日は「スモーク」。ポール・オースター原作、脚本の映画、といっても、原作となったのは映画の最後の部分だけ。

元々、ポール・オースターが日本語訳が出る前から好きで、ポール・オースターの原作の映画ならもちろん見るよ、と思って見た。

期待通り、というか期待以上。冒頭、タバコの煙の重さを計る話が出てくるけど、もうその時点で心をわしづかみにされた。The difference...というセリフがかっこよくてねえ...言い方も。

主人公の作家、ポール・ベンジャミンの仕事場が好きで、あんなふうにしたいなあと憧れている。

そして、オーギー・レン役のハーヴェイ・カイテルの表情。嘘を言っているのか、それとも本当なのか、まったくわからない表情。それだけでも見る価値がある。登場する人物はすべてが何か重荷を抱えていて、まっすぐにまともに生きているとはとても言えないが、それでも確かに生きている。タバコの煙のように心許ないけれど。数々の嘘にまみれているが、その中に一片の真実があって、それがきらりと光っている。そういう映画かなあと思う。