映画の話、あと2回...
今日は「いつか晴れた日に」。これは、Jane Austenの"Sense and Sensibility(分別と多感)"が原作。邦題の文句ばかり言っているけど、どうしてこうなったんだろう。文学作品が原作っていうのを前面に出したくなかったのかな。
ジェーン・オースティン素晴らしいよね。なんていうんだろう、あらすじは、いわゆる「ベタ」というやつで、しかも後半、急展開でハッピーエンド(ネタバレごめんね。でも、文学にネタバレなんてないんだよ)になるっていう。冷静に考えると、ありえへん、なんでやねん、という終わり方をする。だから、あらすじだけ聞いたら「つまんなそう」と思う人もいるかもしれない。だけど、神は細部に宿るとは、ジェーン・オースティンのためにある言葉なのではないか、と思う。細かい書き込み、特に心理描写が繊細、精密で素晴らしいために、ベタな展開に不満を持たない。むしろ、よかったよかった、と思える。おそらく登場人物に心に入り込んでいるので、自分のことのように喜べるのだろう。そういう原作の良さが、時間が限られている映画でも出ているところがすごい。
エマ・トンプソン、自分で脚本も書いているんだねえ。弱々しくは絶対に見えないケイト・ウィンスレットが雨に打たれただけで生死を彷徨う、とか、ヒュー・グラントがさえない男を演じてる(無理ありすぎ)とか、細かいつっこみどころはあるけれど、それさえも楽しい。
あと、年齢設定が原作よりだいぶ上がっているのが面白いと思う。原作のままの年齢だと、現代では幼すぎて物語にリアリティがなくなるのかもしれない。