コーヒー牛乳

折に触れて思い出すんだけど、いや、ほんとによく思い出すんだけど、幼稚園の頃は、週一回のコーヒー牛乳だけが生きがいだった。それだけを楽しみに生きていたと言っていい。他に何も覚えていない。コーヒー牛乳にまつわることしか。通っていた幼稚園には給食があったんだけど、土曜日だけコーヒー牛乳が出た。牛乳は生まれつき大嫌いで、体も受け付けないんだけど、その時のコーヒー牛乳はもう、この世のものとは思われないくらい美味しかった。そもそも、幼稚園児のこの世が狭いからね。簡単にその外に出られただけなんだけど。

思うんだけど、実は今もそんなに変わっていないのかもしれない。今はコーヒー牛乳は飲まない。もう何十年も飲んでいない。だけど、「結局、これが生きがいなのかもなあ」と思う瞬間はある。しかも、その生きがいが、他人から見れば、「なんだそんなこと(もの)?」という程度だったりする。人並みに自己顕示欲みたいなものはあるから、それを満たすための行動なんかもあったりするけど、それを取っ払ってしまった時、自分の求めているものってすごく小さくしょうもなかったりするのかもしれない。そう思うと少し気が楽になる。

難しく考えなくていいのかもしれない。とかなんとか。